平成23年5月14日 西条市 西之川 加茂川上流域 古道探索

『四国の山と谷』松長晴利著 朋文堂 昭和34年第一版、昭和38年第三版75ページの「瓶ヶ森周辺並溪谷概念図」。

 

平成23年5月14日 西条市 西之川 加茂川上流域 古道探索。

昨今 大多数の登山者は 石鎚スカイラインや瓶ヶ森林道など 上の登山口から山に登る。 

 

 

上部の車道を使わず わざわざ 下から 山稜に向けて登る登山者は希少だ。

 

それで 昔の山道は忘却され 完全に廃道になった。

 

こうした忘れられた古道をたどろうと 過去 何度か 「イメージをトレースするS氏」の絶妙な達人ルートファインディングに誘導され 加茂川上流域の古道探索に同行させていただいた。  

 

平成23年5月14日、 前回に引き続き 流域上流の関連した 別の古道を探索し、S氏の 素晴らしく巧みな先達の おかげで 今回もまた別の古道の ほぼ概略ルートを 訪ね歩くことができた。

 

同行者 S氏 F氏 Sa氏 計4名 



平成19年4月14日子持権現山(1677) 瓶ヶ森(1896) ホンガケルート。
■平成19年11月11日 西之川 加茂川上流域 古道探索
平成19年11月23日 西之川 加茂川上流域 昔の人が辿った古道跡を忠実にトレース。

古道巡礼



新緑が眩い

同行したFさんは 石鎚スカイラインや瓶ヶ森林道のない時代の 古い5万分の一地形図を わざわざ持参されてくれ、古い昭和30年代、石鎚スカイラインや瓶ヶ森林道のない時代に 石鎚山から 笹ヶ峰縦走をなされた話もお聞きした。

林道のない時代 F氏が辿った石鎚 笹ヶ峰の長い縦走路。林道のない石鎚 笹ヶ峰の縦走路とは どんなに素晴らしい縦走路だったのだろう。

 

古地図には いまでは すっかり忘れさられた 多くの山間集落 鉱山なども記載され 昔の山間地の賑わいを地図から読み取ることができた。

 

わたしが はじめて 西之川 東之川へ入ったのも昭和39年で、当時 山間地はそれなりの賑わいがあったと記憶している。

 

いまから数十年前の賑わいを感じ取りながら 古地図と現実の跡地を比較検証しながら 古道をじっくり 辿っていった。

 

桟道は朽ち、石積みは何箇所か見つけることができたが、自然の地形を利用して 弱点を突いて 巧みに 付けられた古道。  

 

いま 上の登山道から 当時とは比較にならないぐらい楽して「山にのぼる」ことはできる。  

 

だが それと引換に失うことになった代償も大きい。
上の登山口からだけでは 下から登ることによる 多くの楽しさは味わえなくなったのだ。

 

今回 我々一行は下から登る道を古道を辿っていくことによって、  多くの楽しさの一部を 味わうことができたが、多くの車が行き交う 車道に出て 気分を害さないよう 山稜手前で 古道をそのまま引き返した。  

 

車道がない時代なら ようやく到達した山稜で いい気分のまま 至福の時間を過ごすことができただろう。 

 

山に登るとは むしろ こうした下からの労苦を味うことに大いに意義があるのではないだろうか。 

 

今回も とても多くのことを 学ばせてもらった。  

 

 


 

 

「僕は何も回顧趣味に溺れるわけではない。
近代科学の恩恵にあずかぬことは馬鹿げている。
しかしヴァレリーが、近代の人間の精神的怠慢は科学の発達による、という意味のことを言っていたことを思い出す。
スピードとイージーが容易く手に入る結果われわれはもはや苦労して得ようとはしなくなった。
手軽な翻訳本が出てきたために誰も字引を引き困難して原著に就くものがなくなったようなものである。
精神の滋養となるものはそういう困難の中に存するのだが。」
深田久弥

 




趣深山ブログ

平成23年5月14日午前9時 地上天気図

平成23年5月14日 午前9時 高層天気図