ヘリレスキュー



ボッカの時代から ヘリへの移行時期、いちはやくヘリでのレスキューを手がけ 1700回 2000人以上 レスキューした ヘリレスキューに命をかけた男。2002年1月鹿島槍東尾根で事故で亡くなった。

山岳地での ヘリの事故を 辿っていくと ヘリレスキューに命をかけた篠原さんが思い出される。

昔のビデオを また 改めて見てみると 黎明期 当時の貧弱な機材で本当に活躍されたとつくづく思う。

【レスキュー 『篠原 秋彦の軌跡』1_6】
https://youtu.be/5HvWVAi9d4Y


運輸安全委員会JTSBはNTSBの日本版で、事故の再発防止のため、事故原因を究明しようとしているて、報告書などWEB上で公開されている。NTSBは航空機事故の再発防止を優先するが、日本国内では刑事責任追及優先の姿勢が 真の事故調査究明の最大の障壁になっているのが残念だが 公表される内容をもとに 400件以上のヘリ事故の報告書をみてみた。

http://www.mlit.go.jp/jtsb/index.html

運輸安全委員会JTSBで公表されているヘリコプターの事故・インシデントなど
1974年から43年間、400件以上の事故・インシデントを見てみると 長い時間とともに 事故も変化してきているのがわかる。

ヘリ機体性能は 信頼性が向上し、故障しにくくなったとか、アビオニクス機器、航法支援機器など よくなってきていていると思われる。

ただし 空中を飛ぶのは 穏やかな気象条件ばかりでなく 厳しい地形、複雑に変化する海象、天候条件などで飛ぶこともある。

さらに 人間がかかわる面でのヒューマンエラーは 分かっていても、なかなか根絶できないようだ。

事故例から いくつか思いつく点。

■大局的にみて、世界的に航空機事故の究明が進み、次々と新たな教訓がでてきて間違いなく、より安全になってきていると思う。

昔 全然 きがつかなかったことでも いまでは事故原因が解明され 本当の原因が解明さて対策がされてきている。

ただし教訓があっても、その貴重な教訓を 十分に反映して、いかすことができる体制を実際にとれるかどうか?

■空間識失調

機体・機器の信頼性安全性は向上してきているが、人間にかかわる問題は とかく根が深い。

もともと 昔から知られていても、今後も、もっと深く究明されていくことが大事なのかも?

空間識失調のほかにも 人間にかかわる危険要因が潜んでいて、今後の研究で解明されるかもしれない。

■離着陸時は不安定。

離陸直後の墜落、着陸時のハードランディング、損傷などや
ホバリングへ移行、またはホバリングからの移行時に
ちょっとしたはずみで 不安定な状況に陥り 回復できず 墜落。

機体が傾いたまま 先に メインロータブレードが接地して横転。
接地面での水平の安定度がないと 平坦でない傾斜のある場所での離着陸で横転。

とかく離着陸は難しい。

素人考えではあるが
着陸時 すこし傾いていても 足の長さが自動で調整され水平を維持できる装置とか、

ハードランディングしても衝撃を十分吸収できる降着装置とか、
開発できれば 安全な着陸ができるのだが。。。。

■そもそも空中で三次元的な微妙なバランスを保ちながら飛行するのがヘリコプター。

https://youtu.be/93RSJwL07yI?list=PL2C7BC2E29D8F9FD1

チョットしたバランスが崩れると不安定な状態になり 回復できない時もでてくる。

Dynamic Rollover、Settling with Power など いろいろ難しい事態が生じる。

Dynamic Rollover
https://youtu.be/-9GW8OShclc


■空中でホバリング

複雑な気流で、風が変化するなど 微妙な状態で 空中停止させるのは難しい。
https://youtu.be/93RSJwL07yI?list=PL2C7BC2E29D8F9FD1

■オートローテーション訓練中の事故

緊急事態に対応する訓練だが 操作が難しくチョットしたはずみで ハードランディングして機体を壊すのが多い。
着陸時のショックを緩衝するヘリの降着装置を強化できたら随分 事故は減るのでは?

■むかしの事故で目立つのは 農薬・松くい虫・法面緑化材などの薬剤散布に伴う事故。

薬剤散布効果を高めるためか あへて対地高度を低く飛行するから 万が一の時に 対応する間もないし、北米大陸の広大な大農場と違い 散布場所には 電線・索道など障害物が多々あり ついうっかり見落とすとか 気がつかないとかで 接触し、墜落する。

いまでは人々の健康志向から世の中が減農薬・無農薬へと変化してきた。

かつて農薬すべてだったが、病虫害対策も農薬に頼らぬような方式に農業が進化した。

 無人ヘリコプター、ドローンなどでの薬剤散布もあるので トラブルの多い有人ヘリでの農薬散布も減って薬剤散布航空機事故も このところめっきり少なくなった。

■山間地など木材・資材運搬・送電線巡視などの運搬巡視監視。

林業は衰退、林価は低迷し、ヘリを使わなくても、もっと経済的に、伐採搬出できる方法などや、ドローンを使ったパイロットロープの延線、経済的な高性能林業機械、低廉な 軽架線、作業道設置などへ 林業のやり方が変わってきた。

さらに切捨て間伐でヘリで木材搬出の機会も少なくなった。

資材運搬では 昔に比べ 大きな建設工事となる、電源開発も減ったし、鉄塔需要も減ったり、山間部で大規模な工事もめっきり減ったのでは?

またIT技術が進化し送電線監視カメラが発達して 送電線巡視のヘリも減った

ただし 資材輸送に伴う事故は やはり 今でも 多く発生している。

■宮崎、愛知などで 企業がスケジュールフライトを実施して 悪天候にまきこまれ墜落、多数犠牲になった事故があった。

VFRヘリコプター。

スケジュールフライトは 刻々変わる 厳しい天候のもとで 定時性を優先せずに、飛行経路の天候をしっかり把握できて、就航可否など適確な決断できるか やっぱり 難しい要素が多い。

1997年1月24日 愛知県
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/detail.php?id=939

1990年9月27日 宮崎県
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/detail.php?id=731

■個人レジャー用 事故

車でいえば 若葉マーク。

比較的手に入りやすいので事業用でなくレジャー用個人で持っている数も多いのだろう、ロビンソン型などに個人での事故数が多い。
https://robinsonheli.com/

■報道取材ヘリの事故・過熱取材での救難活動への影響

ヘリ同士の空中衝突も あるし、単独事故もあるのだが、報道各社の事故は あまり 報道されないようになっているのだろうか?

アメリカの例では 救難ヘリより 先に 何機も現着し 要救助者は救難ヘリがきたと勘違い しきりに手を振るとか 何機ものヘリが上空の空域をしめてしまうとか。相当な時間を経て、報道ヘリを上空で規制して やっと救難ヘリが救出活動にとりかかれるとか、過熱取材の例があったりしている。

https://youtu.be/ruhtrurYRvw
(実際の遭難を再現した ビデオだが実写ヘリ墜落シーンもある。)

日本でも 取材ヘリの映像を見ると救難現場上空で救出活動と重なる場面を見ることがある。

上空からの映像が 視聴者には インパクトあるのだろうが 報道用ヘリの事故や過熱取材での救難活動への影響にも注目。

■捜索救難ヘリ事故

2017年3月 訓練中に9人死亡の痛ましい事故が発生した。

ただの個人機の事故、事業用機の事故と違って はるかに難しい条件下で行われる捜索救難訓練中での事故。

海上保安庁、警察、消防防災ヘリなどは、悪天候、低速、低対地高度など、厳しい地形、気象、海象条件下で捜索救出訓練をするので ときには訓練中の事故がおきたりする。

もっと 緩やかな条件で 捜索救難訓練すれば 安全だろうが 本番の捜索救難活動は 悪条件のもとで行われることが多いので どうしても 厳しい 条件での訓練になる。

より安全にするには 悪天候 悪条件では ヘリでの捜索救難出動を制限するしかない。

ヘリは万能ではなく ヘリにも難しい条件があるということを みなが もっと理解することが必要なのではないだろうか。




埼玉県、岐阜県の防災ヘリの事故後、消防庁がおこなった防災ヘリ検討会の報告書

報告書
http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h23/sangaku_kyujo_arikata/houkokusyo.pdf

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御嶽山噴火災害を踏まえた山岳救助活動の高度化等に関する検討会
http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h27/ontake/index.html


報告書
http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h27/ontake/04/houkokusyo.pdf